東京、2011年4月30日
被災地の子供達にサッカーボールを贈与
被災地を視察したアルオタイビ大使は「クウェート政府と市民に代わり、今回の震災で被災された方々へ心よりお見舞いを申し上げます」と述べると共に、シェイク・ジャビル・アルサバーハ首長の指示駐日クウェート国大使アブドゥル・ラーマン・アルオタイビと一等書記官モハメド・アルムタイリは、東日本大震災の被災者へクウェートの支援を示す為、被災地のひとつである気仙沼市を慰問した。
両氏はクウェート政府と国民を代表し、サッカーボール、文具、食料、日用品を被災地へ届けた。クウェートと日本の国旗がプリントされた240個のサッカーボールは、大震災の傷跡が残る被災地に希望を運ぶという目的で選ばれた。アルオタイビ大使とアルムタイリ一等書記官は東京から6時間かけ、元サッカー日本代表北澤豪氏、及び外務省担当官等と共に気仙沼沿岸を訪れた。地震と津波で大きな被害を受けた宮城県気仙沼市は、東京より北へ390キロ離れた場所に位置しており、未だに約2千人(2月末時点7万4千人)の人々が、今回のマグニチュード9.0の地震とそれに続いた津波で死亡または行方不明になっている。さらに、5千7百人にも上る被災者が、現在も避難所で暮らしている。
気仙沼市の菅原茂市長はアルオタイビ大使との対談で、同市への訪問、及び、市民、特に子供達へのサッカーボールと支援物資提供に対し感謝の意を表した。菅原市長は「私達はクウェート政府と国民からの支援に感動した」とし、「子供達にサッカーボールを贈るというのは、とてもよいアイデアだと思う。このサッカーボールは子供達を団結させ、クウェートにサポートしてくれる人達がいるという事を忘れないだろう」と述べた。菅原市長によると、津波は気仙沼小学校の建物の2階分部にまで押しよせた。「生徒全員が無事津波より高い校舎の上階まで逃れられたが、ほとんどの生徒の家は流されるか崩壊した。新学期が始まったばかりだが、多くの生徒が他の町に避難しなければならず、残された生徒達は元気がなかった」と語った。同市関係者によると、気仙沼市では8人の生徒が孤児となり親族にひきとられ、約80人が片親を亡くした。
菅原市長は、大津波で18キロ四方が浸水し、海辺にあった23個の石油タンクが爆発し、同市の広範囲が火の海に包まれた震災当時の状態を説明した。また、同市長はアルオタイビ大使に、日本政府による復興支援の現状等を伝えた上で「私達の目標は、ここをまた以前の美しい町に復興する事。検討中の建設計画があるので、クウェートにも是非協力して欲しい」と述べた。さらに市長は、在日クウェート人アブドゥラ・ムザファ氏が地元で一番有名な外国人である事や、ムザファ氏の児童教育やボランティア活動における活躍の様子等を伝えた。
菅原市長は「市民はクウェートへの親近感がすでにあったが、今回の大使の訪問と学校、避難所への支援物資提供で更なる絆が生まれた」と述べた。クウェート政府は家を失ったムザファ氏と家族を、震災直後に避難させている。
の下、クウェートが5百万バレルの原油を日本に無償提供する旨を伝えた。提供される原油は約550億米ドル(約420億円)相当に当り、日本の約1日分の供給量440万バレル以上になる。「町は想像以上の壊滅状態だが、この町と日本は今般の震災から必ず立ち直ると信じている。今日持参した支援物資が、復興の為の第一歩につながれば幸いと思う。また、みなさんが何を必要としているかを教えて欲しい」と語り、アルオタイビ大使は市長にクウェートの全面協力を約束した。
アルオタイビ大使は南気仙沼小学校と気仙沼中学校に加え、2箇所の避難所を慰問した。大使は市教育委員長を務める白幡勝美氏に面会し、市民にお見舞いの言葉を伝えた。南気仙沼小学校では25名の生徒がアルオタイビ大使を出迎え、日本・クウェート両国の名前が印字されたサッカーボール、ノート、バッグなどの支援物資に喜びの声を上げた。大使は「私達の心は、いつもあなた達と一緒だという事を忘れないで欲しい。クウェートの人達、世界中の人達があなた達を応援している。あなた達がいつか、この気仙沼の復興の為に活躍すると信じている」と子供達を元気づけるよう励ましの言葉を述べた。 また、子供たちは、元サッカープレーヤー北澤氏の登場に歓声を上げ、北澤氏が見事なサッカースキルを披露すると笑顔がこぼれた。震災で亡くなった同級生、鈴木もえちゃんの写真を握り締めていた11歳の渡辺みゆちゃんは「もえちゃんは津波でいなくなっちゃったけど、もしここにいたら、みんなと一緒に楽しんだと思う」と語った。アルオタイビ大使は避難所の被災者の一人一人に声をかけながら、支援物資と日用品を手渡した。被災者はクウェートの支援に感激したとし、大使に深々とお辞儀をした。
津波で大被害を受けた沿岸の住宅地を訪問し、被害の現状を知った大使は、災害の深刻さにショックを受けた。一方、「地震と津波による被害はテレビで見る以上だったが、市民の強さと厳格な心で日本人は必ず復興し、日本は今まで以上に力強い国になると信じている」とし、「今回の訪問とクウェートからの支援物資が子供達に喜びを与え、被災者を少しでも勇気付ける事を祈っている」と述べた。